これまでの「高齢者住まい法」では、高齢者向けの賃貸住宅として、
「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」、「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」
の3つが制度化されていました。
しかし、制度が複雑なうえ、高円賃、高専賃ではバリアフリーが基準となっていないこと、生活支援サービスの提供が
義務化されていないことなどから、高齢者の住まいとして機能が十分ではないなどの背景がありました。
一方、老人福祉法による有料老人ホームでは、要介護や入院などで契約解除されるなど居住の安定性が弱いこと、
利用権方式が多いことから入居一時金が返還されないトラブルが増えてきたことなどの課題も挙がっていました。
そこで、入居者の保護と高齢者向け住宅の供給促進の観点から、一元的な制度として再構築しようというのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。
サービス付高齢者向け住宅の登録基準は、設備・サービス・契約においてそれぞれ基準が設けられています。
設備に関しては各専用部の面積が原則25m2以上であること。
各専用部に台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備えたものであり、バリアフリー構造が必要となっています。
サービス面では安否確認と生活相談サービスが必須。
契約に関しては専用部分が明示された契約を書面によって締結することが求められています。
契約は長期入院などを理由に、事業者からの一方的な解約などを防ぐ内容になっていなければならないとされています。
また、受領できる金銭は敷金・家賃・サービスの対価のみとなっており、権利金等の受け取りは不可となっています。
高齢者が長く安心して住み続けるためには、介護が必要になった場合も想定しておく必要があります。
法律で義務づけているサービスは、安否確認と生活相談のみ。食事の提供や家事のサービスの有無は住宅によって異なるし、
介護や医療のサービスについては外部のサービスを利用することになるでしょう。
「サービス付き高齢者向け住宅」という名称にかかわらず、どんなサービスを提供するのか、費用はどうなるのかなど、
入居者が事前によく確認をしなければなりません。