かねてからの働き方改革や長引くコロナ禍による影響で、民間企業ではテレワークへの本格シフトを推し進め、また新たに起業する人たちのほとんどが自宅で仕事をするようになっています。
このような動きを受けて、これからマイホームを新築する人にとっては、自宅に仕事専用のワークスペースを設えることが新たなスタンダードとなることでしょう。
この記事では、ワークスペースのある注文住宅を建てる際に気をつけたいポイントを解説していきます。
目次
1. 自宅で仕事をする際のよくある悩み
通勤にかかる時間やストレス、肉体的な疲労もなくなり、効率的に仕事に集中できる一方で、仕事専用のワークスペースがないためにテレワークに不便が生じているという意見も少なくありません。
まずは、現在の自分のテレワーク環境で、どんな悩みや不満があるのかリストアップしましょう。
たとえば、代表的に悩みや不満には、次のようなものがあります。
①仕事をするためのデスク環境が整っていない。
②インターネット環境が整っていない。
③オンラインでの会議や商談がやりにくい。
④集中できない。
テレワークでの悩みや不満を具体的にリストアップしていくと、同時に解決すべき課題が見えてきます。
ワークスペースのある注文住宅を建てる際には、これらの課題を解決できるように計画していきましょう。
2.ワークスペースをつくる際に気をつけたい5つのポイント
使用するシーンを明確にイメージしよう
ワークスペースを計画する際には、より具体的に仕事をしている姿をイメージすることが大切です。
ここでは、ワークスペースをつくる際に気をつけたいポイントを紹介します。
2-1. ワークスペースの種類
デスクや PC、安定した高速インターネット回線などは誰しもに共通する課題ですが、
注文住宅でワークスペースを取り入れる場合、まず考えなければならないのは、ワークスペースの種類です。
これまでは、いわゆる「書斎=完全個室」として考えられてきましたが、昨今のワークスペースについては、個室に限らず、半個室やオープンタイプのものがあり、ニーズや条件に合わせて自由なスタイルで住まいに取り入れやすくなっているのが特徴です。
新たに注文住宅を建てるときには、ワークスペースと生活や家族との関係性をイメージして設計していくと、理想の空間を手に入れることができます。
ワークスペースの種類には、「オープンタイプ」と「個室タイプ」、そして「半個室タイプ」があります。
それぞれの特徴について説明していきます。
ワークスペースの種類1|オープンタイプ
リビングやダイニング、寝室などの一角にワークスペースを設置するタイプです。
比較的少ない費用で、使用する床面積も広くないので、手軽に設置することが可能。
特に小さな子供がいるご家庭で、仕事をしながら子供の様子を見たい場合にはオススメです。
デメリットとしては、プライベートと仕事の区別がつきにくく、集中するのが難しい、という点が挙げられます。
また、私的な空間の一角に設置するため、オンライン会議にもあまり適さないでしょう。
ワークスペースの種類2|半個室タイプ
壁で囲んでしまわないタイプのワークスペースです。
完全な個室タイプに比べて床面積も広くなく、費用も抑えられます。
デメリットは、防音性が低くなるので、設置する場所をよく検討する必要があります。
ワークスペースの種類3|個室タイプ
完全な個室として独立しているワークスペースです。
防音性も高く、私生活と完全に分けて仕事に集中できることが大きなメリットです。
デメリットは、当然のことながら、床面積を広くとるため、やや費用が高くなることです。
また、独立した部屋であるため、冷暖房などの空調設備も必要になってきます。
仕事内容やライフスタイル、あるいは価値観や家族構成によっても、選択するタイプは異なってきます。
ただし、あくまで仕事がはかどるようにつくらなければ、何のためのワークスペースなのか分からなくなってしまいます。
そうならないために、なるべく具体的な作業イメージをもって計画することが大切です。
2-2. ワークスペースの設置場所
ワークスペースは、設置される場所によって、仕事のしやすさや居心地が大きく変わってきます。
ここでは、設置する場所によって異なるメリットとデメリットを解説します。
< 設置場所 >
- ①リビング
- メリット:スペースが広いため、設置しやすい。家族の存在が感じられて安心感がある。
デメリット:家族の存在が感じられる反面、仕事に集中しづらい。
- ②ダイニング
- メリット:防音性が高いため、静かでリラックスして過ごすことができる。
デメリット:同室の家族と生活リズムが異なる場合、互いに支障が出て、継続的な利用が難しい。
- ③ベッドルーム
- メリット:家事と並行して作業を行う方には適している。
デメリット:仕事に集中しづらい。生活動線の妨げになりやすい。
- ④収納スペース
- メリット:クローゼットや押入れを活用することで、スペースを効率的に確保できる。
デメリット:収納スペースの本来の用途が果たされなくなる恐れがある。
- ⑤デッドスペース
- メリット:階段下や屋根裏などのデッドスペースを有効活用できる。
デメリット:足音や狭さ、天井の低さなどで居心地がよいとはいえない。
- ⑥個室
- メリット:仕事に集中できる環境が整っている(防音性・快適性・設備面の充実など)。
デメリット:家族の存在が感じられない。
設置しやすいことも重要ですが、設置する場所によって、居住性だけでなく、使い勝手にも大きな差があります。 仕事に集中するためには、居住性がよく、作業を効率的に進められることが前提条件になります。 長い目で見てストレスを感じにくい、仕事をしやすい空間にすることを目指して計画しましょう。
2-3. 作業内容に合った照明を設置する
実際に作業をしていて、しばしば問題になるのが照明です。
ほとんどの方があてはまるであろう VDT 作業(PC モニターを使用する作業)をする際には、目の疲労や肩こり、頭痛などの要因となるため、決して軽視することなく、慎重に確認することが必要です。
VDT 作業をする場合、電球や蛍光灯が視界に入ると、まぶしさを感じて眼精疲労の原因になります。
作業する際には、光源が直接見えないように設置することが基本です。
照明器具は、次の注意点を考慮して選んでください。
- ①光の色(色温度)
- 青白い光(色温度が高い)は、集中力が上がると言われています。
ただし、目が疲れやすいというデメリットがあるので要注意。
反対に、オレンジ色(色温度が低い)の光は、リラックスできると言われています。
クリエイティブな作業をする方に好まれる傾向があります。
- ②明るさ(照度)
- 明るいほど、脳が覚醒して作業効率が上がりますが、目が疲れやすいという点に気をつけなければいけません。
- ③作業面の周辺の明るさ(照度)の差
- タスク照明(作業する場所を照らす)とアンビエント照明(室内全体を照らす)については、作業内容や好みに応じて、組み合わせ方を検討しましょう。
普段、作業していると、心地よく感じる、あるいは不快に感じる照明があるはずです。
自分の好みや作業内容に応じて、電球や照明器具を選び、最適なワークスペースにしたいところです。
2-4. コンセントや LAN、Wi-Fi など設備環境
コンセントは、普段使用している家電製品やデジタルデバイスに応じて、必要な数を使いやすい位置に設置します。
たこ足配線は、発熱や火災の原因になるので、なるべく避けることが好ましいです。
また、安定した通信環境を求める方には、マルチメディアコンセントがおすすめ。
通常の電気コンセントに加えて、有線 LAN や電話機のモジュラージャックも付いている優れものです。
Wi-Fi については、ほかの家電製品やデジタルデバイスから電波干渉を受けて、速度低下や接続不良になることがあります。
そのため、ビデオ会議やオンライン商談が頻繁にある方には、Wi-Fi のほかに有線 LAN を引いておくと安心です。
また、Wi-Fi の性質として、PC とルーターとの間に障害物があると、通信速度の低下や接続障害が起こりやすくなります。
これからの時代、注文住宅で間取りを考える際には、電波環境に配慮することも大切なことです。
そのほかには、冷暖房用のコンセントやアースの必要性についても確認しておくとよいでしょう。
2-5. 作業効率に影響する収納
ワークスペースの広さを考える際には、同時に収納についてもイメージしなければなりません。
PC や資料、本など、デスクだけでは、いくらでも散らかっていくため、収納スペースがなければ、物で溢れかえります。
そこで、収納を計画するときは、収納したいものをリストアップし、使用頻度に応じて収納スペースを設けていくのがポイント。
いつもキレイに整理整頓されていれば、作業効率にも好影響を与えます。
コンセントや配線と併せて、作業効率が上がるように計画しましょう。
また、収納スペースは、造作するのか家具を設置するのかについてもよく考えましょう。
造作すれば、無駄のないサイズで見た目にも美しく整います。
家具を設置する場合は、必要に応じて設置と撤去を繰り返すことが可能です。
ワークスペースのタイプや作業用途に応じて適した方を選びましょう。
仕事内容やライフスタイル、家族形態や個人の価値観によっても、最適なワークスペースの形はちがいます。
ただし、あくまでも仕事に集中できなければ、せっかくワークスペースをつくっても、意味を為さなくなってしまいます。
社会での働き方が変化している以上、これからの家づくりにおいて、ワークスペースの設置を考えることは、もはや当然のことといえます。
仕事と生活、公私の調和を上手に図る家づくりなら、わたしたちアイビスグループにいつでもお気軽にご相談ください。
3. この記事のまとめ
今回の記事では、『ワークスペースのある家を建てる ~テレワークを快適にする注文住宅~』をテーマに、働き方の変化とともに求められる自宅の仕事場のつくり方について紹介してきました。
理想のワークスペースをつくるには、「集中できない」「仕事する環境が揃っていない」など、現状で抱える悩みや不満をリストアップし、その課題の解決策を探すように計画することが大切。
より具体的に自宅で働く姿をイメージしながら、ここでご紹介した<ワークスペースをつくる際に気をつけたい5つのポイント>を押さえていきましょう。
仕事内容やライフスタイル、家族形態や価値観によっても、最適なワークスペースの形はちがいます。
しかしながら、あくまでも仕事に集中できなければ、せっかくワークスペースをつくっても、何の意味もありません。
この記事を参考にして、ぜひ仕事と生活のバランスがとれた理想のワークスペースをつくってください。