マンションは戸建てと比較して立地が良いことが多く、ワンフロアで暮らしやすいところが魅力です。しかし、時代やライフスタイルによって住みやすい家のかたちは変わります。特にマンションはどの部屋も似たような規格でデザインされているため、人によっては「使いにくい」「好みに合わない」と感じることもあるのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、マンションリノベーションです。所有のマンションをリノベーションする場合はもちろん、中古物件を購入してリノベーションする場合でも、新築マンションに住み替えるよりもお手頃。自分好みに家の中をつくり変えることができ、使い勝手のよいお気に入りの家を手に入れることができます。ここでは、マンションをリノベーションする際のポイントをご紹介します。
メリットの多いマンションリノベーションですが、施工前には注意すべきポイントもしっかりと把握しておくことが大切です。リノベーションをした後になって、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、メリットとデメリットの両方を理解しておきましょう。
リノベーションは、新築マンションを購入するより価格が安いことが何よりも魅力。所有のマンションをリノベーションする場合でも、中古マンションをリノベーションする場合でも、新築よりもコストを抑えて新築と同様の家に生まれ変わらせることができます。間取りが決められた新築マンションよりも、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に間取りを変更することができ、住みやすく使い勝手の良い住まいを手に入れることができます。また、既存の物件に住むため周辺環境が事前に分かり、コミュニティをゼロから構築する新築物件に比べてトラブルが少なく安心です。
建物の経年劣化による耐久性の低下や建築時の耐震基準の低さが一番の不安要素です。一見して分からない部分に劣化が及んでいることがありますし、住宅の構造によっては希望のリノベーションができない場合もあるので、施工業者や建築士などに相談してみましょう。リノベーションの内容によっては、住みながらのリノベーションができなかったり、工事期間が長引き住むまでに時間がかかることもデメリットの一つ。また、リノベーションの費用の支払いにリフォームローンを利用すると、住宅ローンより高い金利が適用されるため、支払い総額が高くなる場合があります。
中古マンションを購入してリノベーションする場合は、物件費用の他に諸経費が必要です。諸経費とは、不動産会社への仲介手数料や登記費用、住宅ローン事務手数料などのこと。物件価格にばかり頭がいきがちですが、諸経費は物件価格の8?10%前後と決して安い価格ではありません。購入前から諸経費もしっかりと予算に入れておきましょう。
リノベーション費用は、工事の規模や使用する材料によって大きく異なります。まずはリノベーション会社に見積もりをとってもらって、理想の住まいが予算内に収まるかどうかを確認しましょう。予算をオーバーしてしまう場合は、リノベーションする場所や使う材料に優先順位を決める必要があります。
マンションの管理費や毎年の固定資産税など、居住後にかかる費用負担は決して軽くはありません。また、忘れがちなのが引っ越しや家具や家電、カーテンなど生活用品にかかる費用。一つひとつは高くなくても、一度に揃えるとなると出費はかさみます。リノベーション前に、全ての費用を洗い出して把握しておきましょう。
鉄筋コンクリートの中古マンションには、柱や梁で建物を支える「ラーメン構造」と、壁と床で建物を支える「壁式構造」の2種類があります。ラーメン構造の場合は壁を抜いて部屋を作り直すといった自由度の高いリノベーションが可能ですが、壁式構造の場合は、構造に関係のない壁しか抜くことができないため、リノベーションの自由度が制限されます。中古マンションを選ぶ際は、ラーメン構造か壁式構造か、また壁式構造ならどの壁が構造壁なのかを事前にチェックしておきましょう。
そのほか、防音効果のあるフローリング以外は認めないなど、マンション規約によって使用する素材等が制限されている場合もあります。
立地や日当たり、風通しなどを確認することはもちろんですが、中古マンションの場合は耐震性能の事前チェックが欠かせません。現行の耐震基準を満たしていれば大地震にもある程度は耐えることができますが、1981年6月以前に建築確認を受けた建物は、耐震性が不足している恐れがあります。ただし、1981年6月以前の中古マンションであっても、耐震適合証明を受けている物件であれば、新耐震基準相当の耐震性を有しています。安心して暮らすためにも、適合証明の有無を必ず確認しておきましょう。
また、騒音などの住民間のトラブルがないかといったことを事前にチェックできるのが中古マンションのメリット。長く住む場所なので、何度か現地に訪れて様子を見ておくことをおすすめします。
マンションの住みやすさを決める大きな要素が「管理体制」です。エントランスなどに目がいきがちですが、自転車置き場や駐車場、ゴミ捨て場など、目立たない場所こそしっかりと確認を。こうした共用部分が整理整頓されていないなら、管理体制や安全性にも問題があるかもしれません。管理費は安いけれど管理が行き届いていない、というのは本末転倒です。管理体制は、管理費の安さではなく、サービス内容と費用が見合っているかどうか、また生活する上で必要なサービスが整っているかどうかを重視しましょう。
中古マンションは、担保評価が低いためもともと十分なローンを受けにくいという側面がありますが、そもそも建築物自体がローンを組めない構造になっている場合もあります。
例えば、再建築不可物件です。現在は「接道義務」という規制によって、道幅が4m以上の道路に2m以上接していなければならないと決められていますが、接道義務が定められる前に建てられた築年数の古いマンションでは、現在の法律に違反している場合もあります。こうした、既存不適格建築物は住宅ローンを組めないか、組めたとしても融資額が減額されます。
また、専有面積が狭い場合や、土地面積が小さい場合も住宅ローンの評価額は低くなります。
リノベーションでは、水回りや電気、ガスなどの設備も最新タイプに取り替えて、新築のような暮らしを楽しめることが大きなメリットです。ライフスタイルの変化に合わせて、所有のマンションをより自分らしい家に生まれ変わらせることもできますし、中古マンションを購入してリノベーションする場合にも、より個性的な家づくりができます。資産価値も上がるため、後々売却を考える場合にも有利です。
担当 橋本 拓也